着物の着付け徹底解剖 どういう風になっているの?
成人式の振袖は楽しみだけど、初めての着付けでちょっと不安…という方へ。着付けの大まかな流れがイメージできれば、前撮りや成人式当日も安心して迎えられますよね。今回は、振袖の着付けについて、細かいところまで徹底解説いたしますので、ぜひご参考になさってください。
- >>着物を着る前の下準備
- ■ヘアメイクは着付けの前に行います
- ■『補正』で理想の寸胴体型に!
- ■長襦袢を着る
- >>いよいよ振袖の着付けへ!
- ■裾のラインを決めて腰ひもを結ぶ
- ■襟を合わせて伊達締めで固定する
- >>袋帯を結ぶ
- ■帯を身体に巻き付けて結ぶ
- ■帯の後ろ側を綺麗にアレンジ
- ■着付けは苦しくないの?
着物を着る前の下準備
■ヘアメイクは着付けの前に行います
振袖のお仕度では、まずヘアメイクから行います。
ヘアメイクが終わったらそのまま着付けにうつりますので、髪型が崩れないように前開きの服を着てヘアメイクをします。
肌襦袢を着た状態でヘアメイクをする場合もありますが、寒くないように何か羽織るものがあったほうがいいかもしれません。
着付けにはある程度時間がかかりますので、着付けが始まる前にトイレを済ませておきましょう!
■『補正』で理想の寸胴体型に!
「着物は寸胴体型のほうが似合う」というのを耳にしたことがありませんか?
着物は洋服のように立体裁断にはなっていません。直線裁ちの平面的な着物に合わせて、体型のほうを整える必要があります。
肌襦袢や裾除けを着る時に、「さらし・タオル・脱脂綿」などを使って、理想の寸胴体型に近づけることを『補正』と言います。
「振袖の着付けになぜタオルや脱脂綿が必要なの??」と疑問に思われる方も多いかもしれません。実は、振袖を美しく着付けるための重要アイテムです!
具体的には、次のような手順で補正を行います(体型によって変わります)。
■さらしでバストのふくらみを目立たなくする
■脱脂綿で肩下から胸の上にかけてふっくらさせる
■フェイスタオルでウェスト周りやヒップの上のくぼみを埋める
補正をすると着崩れもしにくくなります。保温効果もあり、汗を吸い取ってくれるというメリットもありますよ!
■長襦袢を着る
補正が済んだら、振袖を着る前に、長襦袢を着ます。
お嬢様は、背筋をのばしてしっかり立っていてください。帯を締める時などは、踏ん張るために少し足を開きますが、襦袢や着物の着付け中は、裾が開かないように足をとじて立ちます。袖に手を通す時など、着付け師さんの指示に従って、着付けに協力してくださいね!着付け師さんは、どのように指示するかもちゃんと心得ていますので、緊張しなくて大丈夫ですよ。
長襦袢に袖を通したら、襟を合わせます。長襦袢の襟には半襟がついています。振袖を着た時に半襟が少し見えるように、振袖よりも深く襟を合わせます。
女性の着付けでは、襟の後ろ側を少し下げる(衣紋を抜く)のが特徴です。襟のカーブがきれいに見えるように、長襦袢の襟には「衿芯」を入れておきます。
長襦袢の前をきれいに合わせたら、腰ひもや伊達締めを結びます。胸元が開かないように「コーリンベルト」をする場合もあります。
長襦袢は振袖よりも短く仕立ててあり、通常「おはしょり」は作りませんが、襦袢の丈が長い場合は、腰ひもなどで調整することもあります。
腰ひもや伊達締め、コーリンベルトなどは、着付け方法によって使用する本数が変わります。美しく着付けるために意外とたくさん使いますので、お店の案内に従って必要な本数を準備しましょう!
長襦袢は振袖を着る「土台」となるので、襟合わせや、襟の抜き加減に細心の注意を払って着付けます。上にひびかないように、脇や背中などのシワもきれいにとります。
いよいよ振袖の着付けへ!
■裾のラインを決めて腰ひもを結ぶ
長襦袢の上から振袖に袖を通したら、上前と下前を持って裾のラインを決定します。ずれないように腰にしっかり巻き付けるようにして腰ひもを結びます。
振袖など、女性の着物は、着丈よりも長く仕立ててあり、余った分を折って「おはしょり」にします。
「おはしょり」がひらひらしていると美しくないのできれいに整えます。
■襟を合わせて伊達締めで固定する
襦袢の襟の上に振袖の襟を重ねてきれいに合わせます。この時、振袖の場合は、襟元がさらに華やかになるように「重ね襟」を入れます。
襟が開かないように「コーリンベルト」を付け、襟元をきれいに合わせたら、腰ひもや伊達締めで固定します。
おはしょりが長すぎる場合は、たくし上げて腰ひもなどで調整する場合もあります。
袋帯を結ぶ
■帯を身体に巻き付けて結ぶ
長襦袢と振袖の着付けが終わったら、後半戦は帯の着付けです。ここからは、ぐらつかないように少し足を開いて立ちます。
着付け師さんは、ゆるまないように帯をしっかり引き締めながら巻き、結ぶ時にもかなり力を入れて引っ張ります。力を入れる前に「ふんばってください!」という指示があるはずです。
まず、半分の幅に折った帯をしっかり身体に巻き付けていきます。この時、前帯がきれいに見えるように「帯板」を入れます。
半分に折った帯の先(「手先」といいます)と、残りの帯(「タレ」といいます)を背中側でしっかり結び、「仮紐」というゴム付きの紐で固定します。
通常の着物の着付けでは、「仮紐」は帯結びの後に取る場合が多いですが、振袖の場合は、帯結びのアレンジに使用するのでつけたままです。
■帯の後ろ側を綺麗にアレンジ
帯を結んだら、背中側の「タレ」をきれいにアレンジして結びます。昔ながらの「文庫」や、「立て矢」、「ふくら雀」などのほか、花のように見える結び方など様々な結び方があります。
タレの形を整えたら、「帯枕」を入れて前で紐を結びます。帯枕を「帯揚げ」でくるみ、左右を前で結びます(結ばない方法もあります)。
最後に「帯締め」でタレ先を固定し、前で結んでしっかり留めます。仮紐や帯枕の紐などをきれいに帯の中に隠して、帯揚げや帯締めを整えれば着付けの完成です!
■着付けは苦しくないの?
振袖の着付けには、意外とたくさんの紐が使われています。「帯で締めつけられて苦しそう…」とご心配かもしれません。
でも大丈夫ですよ!着付け師さんは、「着崩れしない・苦しくない」ちょうど良い加減になるように調整してくれます。
もちろん、苦しい感じや痛いところなどがあったら、我慢や遠慮をせず着付け師さんに伝えるようにしてください。
帯をしっかり締めると、お腹の周りが頑丈になったような安心感がありますよ! 自然と背筋も伸びますので、気持ちもしゃきっとしてきます。
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[いせやグループ・ファーストコレクション 広報担当 高橋]
ファーストコレクション熊谷行田店は、深谷市の老舗呉服店「いせやグループ」の振袖専門店です。
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