「袂」の読み方・意味は?~聞きなれない振袖の部位・名称~

                        現代の日本人にとって、着物はそれほど身近な存在ではなくなっています。
着物に関する言葉には、知っているようで知らないものや、そもそも聞いたことがない!という言葉もありますよね。
せっかく振袖を着るなら、ちょっとだけ着物に詳しくなってみませんか?
着物の部位やつくりを知っていると、着付けの手順や着崩れ直しの方法、着物での立ち居振る舞い・マナーなどについての説明も理解しやすくなります。
着物のパーツとデザインの関係についてもお伝えしますので、振袖を選ぶときのご参考になさってください。

>>袂・振り・身八ツ口・衣紋とは?
■「袂」は「たもと」と読みます
■「振り」と「身八ツ口」
■「衣紋(えもん)」って何のこと?
>>難読漢字だけど重要! 裄・衽・袘
■「裄」(ゆき)
■「衽」は「おくみ」と読みます
■振袖のおしゃれは「八掛(はっかけ)」にも注目!

袂・振り・身八ツ口・衣紋とは?

                   

■「袂」は「たもと」と読みます

「袂」という漢字にはなじみがなくても、「たもと」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
それって着物の袖のこと?と思われた方は、ほぼ正解です!
もう少し正確に言うと、袂は袖の一部分を指しています。
着物の袖には、身頃(みごろ)の脇に縫い付けてある「袖付け」と、手首から先を出す「袖口」があります。
袖付けから腕を通して袖口から手を出すと、腕の下に袋状に垂れ下がる部分がありますね。この部分が「袂(たもと)」です。

「袂」は「たもと」と読みます

振袖は袂がとても長いので、袂の扱い方を覚えておくと、振袖を着た時の立ち居振る舞いがスマートになります。
●階段の昇降時は、袂を踏んだり床についたりしないように
●腕を伸ばす時は、袂をおさえながら(腕をにょきっと出さない)
●椅子に座る時は、両袖の袂を重ねて膝の上におく
●トイレの時は、袂を帯にはさんだり縛ったりすると汚れません

■「振り」と「身八ツ口」

女性の着物の袖は、袖付けから下が「振り」と呼ばれ、開いた状態になっています。
また、身頃(みごろ)の脇も袖付けから下が少し開いています。この部分を「身八ツ口」といいます。

「振り」と「身八ツ口」

男性の着物には「振り」も「身八ツ口」もなく、袂が完全に袋状になっている(「人形仕立て」と言います)ので、
ポケットがわりに小銭などを入れることもありますが、女性は袂に物を入れておくことはできません!
振袖の襟元が開いてきたときには、左の身八つ口から手を入れて、下前(右)の襟を下に引き、帯や紐に押し込むようにします。
上前(左)の襟は、帯下のおはしょりの襟のところを引っ張って整えます。

■「衣紋(えもん)」って何のこと?

衣紋(えもん)って何のこと?

「衣紋(えもん)」は、和服の襟合わせやきちんとした着付けのことを表します。着物にしわができないように掛けておく衣服掛けのことを「えもんかけ」と言います。
お祖母さま世代ですと、ハンガーのことを「えもんかけ」と呼ぶ方もいらっしゃいます。
また、「衣紋を抜く」という言葉もあります。襟の後ろ側を少し下げて着付けることで、美しい後ろ姿を作るポイントになります。
衣紋の抜き方は、着物の種類や着る人の年齢・体格、好みによって調整します。紬などはあまり抜かずに着付けるほうが粋とされますが、振袖、訪問着、留袖などのフォーマル着物はしっかり襟を抜きます。
ただし、襟を抜きすぎると色っぽい雰囲気になってしまいます。振袖の着付けでは、美しく上品に衣紋を抜くように着付け師さんが調整してくれますよ♪
女性の着物は衣紋を抜くために、後ろ身頃の方に襟をずらして仕立ててあります(「繰り越し(くりこし)」と言います)。
バストが豊かな方などで衣紋が抜きにくい場合は、お仕立ての時に繰り越しを多めにとってもらうこともできますよ。
ちなみに、男性や子供は衣紋を抜かずぴったりと首に添うように着付けますので、男性や子供の着物には繰り越しがありません。

難読漢字だけど重要! 裄・衽・袘

■「裄」(ゆき)

「裄(ゆき)」は、着物の寸法に関わる用語です。部位の名称ではありませんが、重要なのでとりあげたいと思います。
裄は、肩幅と袖幅を合わせた長さです。

「裄」(ゆき)

一般的に、背が高い方は裄も長くなりますが、腕の長さには個人差があります。身丈はある程度まで着付けで調整できますが、裄が短すぎたり長すぎたりする着物は着用できません。
若い人は、お母様世代よりも背が高く腕も長いことが多いので、ママ振袖を着る場合には、身丈だけでなく裄が合っているかどうかも確認する必要があります。
ファーストコレクション熊谷行田店には、「ママ振袖プラン」もあります。ママ振袖についてご心配なことがありましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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>>ママ振袖マニュアル-基礎編 – ファーストコレクション

■「衽」は「おくみ」と読みます

「衽」という言葉も、着物になじみのない方は耳にしたことがないかもしれません。
「衽(おくみ)」は、身頃と襟の間に縫い付けられている部位です。

「衽」は「おくみ」と読みます

左右の身頃は反物の幅(36~40cm)を使って仕立てますが、それでは身幅が足りません。そこで、反物を半幅(18cmぐらい)に切って、左右の身頃に縫い付けます。衽の上の方は、襟の中に縫いこまれるので三角形になっています。
着物を仕立てる時には、和裁士さんが上前(左)の衽など目立つところに良い柄が出るように考えてくれます。
振袖や留袖、訪問着など格の高い着物では、衽と身頃の柄が縫い目をまたいでつながる「絵羽模様(えばもよう)」になっています。最初から柄付けが決まっており、左の胸元や衽に良い柄が出るようにデザインされています。
今年の振袖は「大きめの柄」がトレンドになっていますので、衽のすその方に大輪の花などがあしらってある素敵なデザインの振袖がたくさんありますよ!
ウェブカタログでも、ぜひチェックしてみてくださいね。
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■振袖のおしゃれは「八掛(はっかけ)」にも注目!

振袖の中を見ると、上半身には白い裏地(胴裏地)、下半身には色のついた裏地がついていますね。
すそ側についている裏地のことを「八掛(はっかけ)」と言います。左右の前・後身頃のすそ、左右の衽すそ、左右の袖口の裏地として、8つのパーツに裁断するのでこの名前がついています。
着物を着て歩くと多少はすそがめくれますので、八掛地がちらりと見えます。白地の振袖のすそから、赤やピンク、オレンジなどの八掛地が見えたらとっても可愛いですよね! ブルー系や紫色にすれば、大人っぽくクールな印象になりそうです。
実は八掛地は表側からも見えます。裾や袖口の八掛は、3~4mmぐらい表側に飛び出すように仕立ててあります。この部分を「袘(ふき)」と呼びます(使用頻度が少ない漢字のため、漢字変換の候補に出て来ませんでした!)。

ふき

袖の端にうっすら出ている赤い生地部分。

「ふき」には、洋服で言うところの「パイピング」のような効果があり、すそや袖口のキワに別色が入ることで、着こなしのアクセントにもなります。
例えば、黒地の振袖に真っ赤な「ふき」がついていたらおしゃれですよね。最近はシンプル系の振袖が流行していますが、「ふき」がアクセントカラーになっている振袖もあれば、あえて表裏の生地をワントーンで統一した振袖もありますよ。
ぜひ、振袖の細かいパーツにも注目して、運命の一着を見つけてみてください。
ファーストコレクション熊谷行田店では、お嬢様がきっと気に入るおしゃれな振袖をたくさんご用意してお待ちしております。
ぜひ一度見に着てくださいね!
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[いせやグループ・ファーストコレクション 広報担当 高橋]

ファーストコレクション熊谷行田店は、深谷市の老舗呉服店「いせやグループ」の振袖専門店です。
着物の用語は聞きなれないものが多いですが、豆知識として知っていると、振袖を選ぶのも着るのももっと楽しくなりますよ!